「霊柩車に出合ったら親指を隠す」「汚いものに触れたらエンガチョを切る」。呪術的な意味を帯びた「オマジナイ」と呼ばれる身ぶり。息を吸ったり吹いたり、指を組んだり、呪文を唱えたり…人が行う「しぐさ」にまつわる伝承と、その背後に潜んでいる民俗的な意味を考察。伝承のプロセスを明らかにするとともに、そこに表れる日本人の精神性に迫る。身近な暮らしのなかに、新たな発見を見いだしてきた著者の代表作。 【目次】 序 俗信と心意 第一章 息を「吹く」しぐさと「吸う」しぐさ 1 息を「吹く」しぐさ 災厄を祓う/妖怪を吹く、妖怪に吹かれる/息と霊魂/ウソブキと風/口笛と蜂 2 息を「吸う」しぐさ 漁師とねず鳴き/遊女とねず鳴き 第二章 指を「隠す」しぐさと「弾く」しぐさ 1 指を「隠す」しぐさ 霊柩車に出合ったら親指を隠す/霊柩車に出合うと縁起がよい/狙われる親指/蜘蛛淵伝説の恐怖/親指を隠す理由/親指の連想/指と俗信 2 指を「弾く」しぐさ 爪弾きの呪力/いざなぎ流にみる爪弾き 第三章 股のぞきと狐の窓 1 股のぞきと異界 妖怪の本性を見る/未来の吉凶を見る/異国を見る 2 股のぞきと袖のぞき 天橋立股のぞき/天橋立袖のぞき 3 狐の窓と怪異現象 日当り雨と狐の嫁入り/狐の窓から覗く 4 覗き見る伝承の諸相 穴や隙間から覗く/二股の間から覗く/絵巻に描かれたしぐさ 第四章 「後ろ向き」の想像力 1 妖異と接触する方法 2 「後ろ向き」と境界 辻と後ろ手/葬送習俗と「後ろ向き」/後ろ向き・後ろ手の多様性 3 「振り返るな」の禁忌 第五章 動物をめぐる呪い 1 虫の動きを封じるしぐさ 穴の蛇を引き抜く法/にが手とまむし指/蜻蛉が目を回す 2 祟りと摂食行為 猫を食った話/蛇を食った話 第六章 エンガチョと斜十字 1 エンガチョと穢れ 生首を見る人びと 『平治物語絵巻』から/エンガチョのしぐさと形 2 斜十字の民俗 生と死をめぐる伝承/一つ目小僧と目籠/疫病よけと十文字 第七章 クシャミと呪文 1 ハナヒからクサメへ クサメをめぐる解釈/クシャミの俗信と呪文 2 クシャミの由来譚 第八章 「一つ」と「二つ」の民俗 1 一声と二声の俗信 モシとモシモシ/一声呼びの禁忌 2 片道と往復の俗信 墓場からの帰り道/ハチワレ猫の禁忌 第九章 「同時に同じ」現象をめぐる感覚と論理 1 同時に同じことを言ったとき ハッピーアイスクリーム/「同時に同じ」が忌まれる理由 2 「同時に同じ」をめぐる民俗 箸わたしの禁忌/相孕みと勝ち負け/双子の命名/二度あることは三度ある 終 しぐさと呪い
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