著者は上智大学中世思想研究所長の重責を担い,中世哲学研究では多数の著述や編集を手がけ,わが国の学界に多大な貢献をしてきた。本著作集は研究者としてではなく,来日して四十有余年にわたる宗教者としての活動の足跡を集大成したものである。多くの信者と向き合い,参禅経験や西田哲学の探求など日本の文化と社会に深くかかわりながら説教や講話,文筆活動をとおして多くの日本人にキリスト教を伝えてきた。 本巻は著者の宗教的体験と古代から現代にいたるヨーロッパの宗教と思想にたいする膨大な知見を踏まえつつ,〈キリスト教とは何か? 宗教とは何か?〉を超越体験として明らかにした画期的な作品である。 世界とは全体をなしており,この全体の意義と根拠を吟味するとき,その理解は常に限界に直面する。そのため諸々の事象を手がかりに存在の真理を推察するほかない。著者は現実全体や存在の意義を探ろうとする哲学と,第一根源の光から人生の意義や目標に触れようとする宗教の両面から世界と人間の真実に迫る。 生きることの意味を思索し,哲学と宗教の視点から人間精神の視野を全体の根源的な焦点に向けて開こうとする営みは,宗教を正面から考える習慣のない私たちにとって,かけがえのない書物になるに違いない。
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