〈今日、誰もが、純粋にひとつのものではない。インド人あるいは女性あるいはムスリムあるいはアメリカ人といったレッテルは、せいぜい出発点にすぎなくて、ほんの一瞬でも実際の経験に足を踏み入れるなら、すぐにも捨て去られてしまうものなのだ。帝国主義は文化とアイデンティティとの混合を地球規模で強化した。しかし、そこからもたらされた最悪の、もっとも逆説的ともいえる贈り物とは、人びとに、自分たちがただひたすら、おおむね、もっぱら白人あるいは黒人あるいは西洋人あるいは東洋人であると信じこませたことだ。…けれども他者とのちがいやみずからの特異性に、これこそが人間生活の要であるかのごとく、こだわりつづける理由は、恐怖と偏見以外にどこにもないように思われる。事実、生存とは、さまざまなものをむすびつけることを中心にして達成される。より実りあるのはーーそしてより難しいのはーー「わたしたち」についてだけではなく、他者について、具体的に、共感をこめて、対位法的に考えることなのだ〉 重なりあう領土、からまりあう歴史…今日もなお形を変えてつづく世界史の諸相を描いた、ポストコロニアル批評の金字塔。『オリエンタリズム』と並ぶサイードの主著を、改訳新版であらたにおくる。 はじめに 第一章 重なりあう領土、からまりあう歴史 1 帝国、地理、文化 2 過去のイメージ、純粋なものと混淆的なもの 3 ふたつのヴィジョンーー『闇の奥』における 4 相反する経験 5 帝国を世俗的解釈とむすびつける 第二章 強化されたヴィジョン 1 物語と社会空間 2 ジェイン・オースティンと帝国 3 帝国の文化的統合 4 帝国の影ーーヴェルディの《アイーダ》 5 帝国主義の楽しみ 6 統禦される原住民 7 カミュとフランス帝国体験 8 モダニズムについての覚書 第三章 抵抗と対立 1 ふたつの側がある 2 抵抗文化の諸テーマ 3 イェイツと脱植民地化 4 遡航そして抵抗の台頭 5 協力、独立、解放 第四章 支配から自由な未来 1 アメリカの優勢ーー公共空間の闘争 2 正統思想と権威に挑戦する 3 移動と移住 訳注 訳者あとがき 改訳新版への訳者あとがき 原注 人名解説 索引
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